大自然と大いなるリレー〜「ザ・グレート」シューベルト最後の交響曲をめぐる物語・しほり音楽のおと③

しほりです♪

※このシリーズの写真はpixabayより「オーストリア・ザルツカンマーグート」の写真を使わせていただきました。


②では今となっては考えられないような水銀治療のお話を書きました。

私も子どもの頃は、ガラスの中に水銀の入った体温計を口にくわえてましたから、かなり身近にあったんですよね(>_<)

古代から毒性があることがわかっていた水銀ですが、便利ということや、よく効くこと(そのあとの中毒はもっと怖かったのに)で、

治療ブーム起きたり、盲目的に女性や子どもにも多用されていたこと。

これは水銀に限らず、今の時代でも大いに参考になることかもしれません。

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・シューマンが10年後に発見


今日はシューベルトが最後に完成させた交響曲「ザ・グレート」の発見と、創作の時のお話です。

さて、シューベルトはお兄さんの家で亡くなったのですが、作品のあった部屋はそのままにされていました。

そして、10年後、ウィーンのシューベルトのお墓(ベートーベンの隣に埋葬された)を訪ねたシューマンが、

その後、お兄さんの家も訪ねて、埃の積もった机の上から発見したのが、大ハ長調の交響曲。それが1838.1.1だったそうです。

それまで世に出ていた作品から、シューマンは、シューベルトは歌曲などの作曲家だと思っていたので、

こんな壮大な曲を作っていたことを知らず。それは驚いたことでしょう。

シューマンはどうしてもこの曲を演奏したいと思い、お兄さんに懇願して、楽譜をドイツのライプツィヒにいたメンデルスゾーンに送ります。

そして3月にはメンデルスゾーンにより初演され、初演に行けなかったシューマンは翌年の再演を聴くことができました。

シューマンは、この曲を「天国的な長さ」と賞賛したそうです!
(日本語訳ではこう言われてますが、これも解釈がいろいろあるよう)

・大自然の中で完成された交響曲

ここで、生前のシューベルトのお話に戻ってみますと…

シューベルトはずっと貧しい生活で、友達のところを転々としていたので、

楽譜も分散していて、あちこちから出てくるため、作曲の順番の研究がされ、交響曲の番号もなかなか確定されませんでした。

ザ・グレートは、研究で1825〜1826に書かれたことがわかっています。

この少し前の年に憧れのベートーベンとも会えていますから、ベートーベンのような大交響曲を書きたい気持ちが盛り上がっていたでしょう♪

そしてこの時期、シューベルトは曲も売れるようになり、念願のザルツブルク方面への大旅行に出かけます。

オーストリアのザルツブルクの郊外から広がるザルツカンマーグートは、

映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台になったところです。

ザルツブルク城や山岳電車にも乗ってる場面もあります!

山と大小の湖の織りなす風景は、私も憧れです。(若い頃、団体旅行でそのあたりをバスで通過だけしたことあるんです。ゆっくり行ってみたい~)

シューベルトも憧れていた場所だったのですね♪

なんとトラウン湖のほとりで、2年間住んでいたそうです。すごい大旅行!いいなぁ☆

このあたりは保養地なので、病気の保養のためもあったのでしょうね。

ザルツカンマーグートは、ザルツ=塩で「塩の御料地」という意味だそうです。岩塩の鉱山のあったところで、ハプスブルク帝国の直轄地。

なんと岩塩は7000年前から掘られていてそうです!

実はここにいる間に「最後の交響曲」を書いたと手紙が残っているので、それが「ザ・グレート」かとも言われ、スケッチの形でのちに発見された交響曲とも言われましたが、今の研究では、それがザ・グレートの方だったということです。

シューベルトの未完成交響曲。あの胸を締め付けられるような哀しみの出だしは、死に至る病を知った苦しみがあったことだと思いますが、

ザ・グレートを作った時は、大自然の中で過ごし、生きる希望を見出していった時だったのでしょうね。

以前この旅行の話を友達に伝えたら、出だしのホルンの音はアルプスの光景のようと教えてもらえて、

すごく納得しました。まさに!

ホルンのおおらかな旋律、そしてザルツカンマーグートの風景が反映されているように壮大なスケール感。

あの美しい湖水や山を歩いているような、旅歩きの楽しい光景のようにも感じられます!

一応こちらにも。カラヤン・ベルリンフィルの演奏で、53分ほど。→こちら

一曲聴いていただくのがいいのですが、
ぜひ一楽章の始めの方と、四楽章(35:15〜)聴いてみてください。

第四楽章のファンファーレは、これから生きていくぞ!という勇気がわくようです。風の時代のファンファーレのようにも思えてしまいました。

・大いなるものが繋いだリレー

「ザ・グレート」のこの物語は、ベートーベン→シューベルト→シューマン→メンデルスゾーンと見事なリレーのように繋がっていっています。

200年経った今も、この交響曲に関わった人達の音楽が変わらず演奏されているのってなんてすごいこと!

良い物しか200年も残りませんものね。

彼らもまさかこんな小さなスマホで、世界中の人が、自分たちの曲を聴いているなんて、思いもしなかったでしょうが、

やっぱりこの交響曲には「大いなるもの」が、このリレーをベストなタイミングで起こしてくれたのかもしれませんね♡

・カラヤン盤がお勧めの理由

今回カラヤン盤は特に推しなのです♪
というのも、カラヤンのお墓があるアニフは、このシューベルトの旅行した辺り。

カラヤンはザルツブルク生まれ。
ここの自然を愛し住んでいたのです。そしてここで亡くなり、お墓もそばの教会にある質素なものです。

彼だからこそ、この交響曲の中にある大自然や喜びを深く知っていたように思えます。

山や湖水を渡る風が入っていそう。聴いているととても元気がでてくる演奏ですよ♪

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